「日本のおっぱい」乳がんダイアリー

2011年乳がんになりました。

北海道で初体験

先々週の北海道紋別で、計らずも乳がん後の初体験が2つもありました。

一つは、生牡蠣を食べたこと。もう一つは、温泉に入ったこと。

牡蠣は、数年前に真夜中に中毒になって救急車を呼ぶ事件があった後は、ずっと恐くて食べていなかったけど、懐かしい面々を目の前にオホーツクの海の幸が山盛りになっているテのを見たら「ま、大丈夫。」と後先考えずに食べてしまった。翌日も何ともなくて、「中毒」は完全クリア。これで、世の中の「恐い」ものが一つ減りました。

それから、温泉。手術後に温泉には何度か入ったけれど、いつも「入浴着」を付けて入っていました。それって何か?というと、こういうものです。(乳がん患者のための製品を企画開発している素敵なメーカー「Bright Eyes」のウェブページ。

この入浴着ですが、長野県が正式に「衛生的である」と認めていて、県内の温泉施設には啓蒙のポスターが張ってあったりします。(たぶん、女湯だけだと思うけど。)

手術後一ヶ月経った頃に「ああ、温泉に入りたい」と思って、「入浴着ウェルカム」のポスターが張ってあったのを覚えていた軽井沢から近い馴染みの温泉にまずは電話をかけました。「入浴着って貸してもらえますか?」電話口の人はしばし、無言。「お持ちいただきます」そりゃそうです。自前が基本。

それからさらに一週間後、ネット通販で無事手に入れた入浴着を握りしめ、今度は違う温泉に念のために電話を入れました。「あの、手術の痕があるので、入浴着を着て入りたいんですけど。」「え??どんなものですか?初めてのお問い合わせなので、相談して折返します。」

明らかに当惑している風の電話口の人に、その頃の私は結構泣きたいような気持ちにさせられました。「ああ、電話しなければよかった。」

が、数分後、打って変わって明るい声で電話があり、「どうぞ、いらしてください。お待ちしております。」と言われて心が弾みました。温泉に入れる!

ドキドキしながら入浴。湯船に浸かって恐る恐る回りの人を見渡したら、あれ?ダーレも私のことなんか見ていないし、気にする様子もありません。ちょっと肩すかし。それどころか一人で露天風呂に入っていたら、温度計を持ってチェックに来た社員の人も「お湯の加減どうですか?ごゆっくり。」とニコッとしてあっさり行ってしまいました。自意識過剰もいいところ?

そんなことが何回かあって、入浴着が面倒くさくなっていた今日この頃。まさか、紋別に温泉があるなんて思っていなかったので、もちろん入浴着も持ってきていなかったし、真冬のオホーツクを眼下に見下ろす極上の湯なんて言っても、朝だから誰も入っていないだろう、と高をくくって行くことに。あれー!予想外に案外と地元のおばあさんで混んでいましたが、これまた誰も私の胸なんか一向に気にしてない。

「案ずるより生むが易し」です。もう、入浴着はいらない。でも実際は今まで一度も私は、入浴着を来ている人にも、手術の傷がある人にも温泉で会ったことがありません。みんなどうしているのかなあ?