「日本のおっぱい」乳がんダイアリー

2011年乳がんになりました。

崖っぷちのトイレ

琉球犬のことです。犬は、弱っていると他の犬や敵に跡を残さないように、崖っぷちでうんちをします。(と思われます。)

主治医に紹介状を書いてもらって、待つこと10日。10月31日にガン患者の琉球犬と検査に行ってきました。自分のときは、そんなことは舌をかんで頼めなかったのに、今度は家人に「一緒に付いて来てほしい。」と半ば強要。「その場で決めたりすることが出ると思うから。」案外とあさっりと、仕事を調整して同行してくれました。思い返せば6年前に、家族に黙って子犬のこの子を家に連れて帰ってしまって以来、「あなたが勝手に連れてきた犬」と継子扱い。二言目には嫌みを言っていたわりには、です。

行き先はその名も「小動物がんセンター」。ああ、私が通っていた「包括がんセンター」を彷彿をさせるネーミング。診療方針も酷似です。主治医の紹介が必要、腫瘍学の先進国アメリカで勉強なさった先生方と先端医療、心のケアを重視(この場合は飼い主)、難病の患者ばかり。

ドキドキして到着すると、人間の病院のごとく、ばーんと「白亜の殿堂」のような建物ではなく、奥ゆかしいシンプルなたたずまいに、少し安心しました。

初診の患者は、問診票?アンケート?に犬種、年齢、などなど、あれこれと書き込みます。最後に治療方針に関して、3つの選択肢から一択。
1. 出来る限りのことをしてほしい。
2. 管理はしっかりしたいが、出来ることには限界がある。
3. 飼い主の要望のみを聞いてほしい。
すこし、考えて2にチェックしました。

廊下で待っていると、最初に獣医師でもあるカウンセラーが親切にわかりやすく、本日の診療の進め方と費用に関して説明をしてくれます。初診料は1万円。その後、検査が必要であれば、担当医が別途見積もりをくれるそうです。

診察室に呼ばれた一頭の犬と二人の人間です。「研修医」と名札をつけた若い獣医がまずは、問診と触診をしてカルテを作ります。それから、一旦下がって担当医とともに再び登場。カルテを元に治療の可能性を説明してくれました。特に新しいことはありませんでした。「抗がん剤か、緩和治療か」とどちらかです。そんなに「リンパ腫の可能性が高い」のならば、彼のカラダを不自然にいじることはなく、検査もしなくていいのではないか、と思わされました。「でも、どんな種類のリンパ腫か検査をすれば、進行が早いものか遅いものかわかります。」「でも先生、それでも延命治療しかないのなら、同じじゃないでしょうか」と私。「まだ何にも知らないうちに、ここで投げやりになることはない」と家人。

三人目は、ここのセンター長で犬の腫瘍の専門医。触診、聴診をしてから、
「このまま何もしなければ、年は越せません。」
「年が越せないって、あの、今は10月で明日から11月で…」と動揺のあまり、答えが全く意味をなしませんでした。

抗がん剤治療をすると、余命は平均で12ヶ月です。平均ですから、全く薬が効かない犬もいれば、よく効いて2年位生きられる犬もいます。」
「もう、いいです。検査もしなくていいです。先生も、リンパ腫だと思われている訳ですから。」目が泳いでいたと思います。
「検査はした方がいいのではないですか。十中八九はリンパ腫です。でも、患者から見たら10%でも可能性があるのなら、それは大きいですよ。」
そうかもしれない。そうかもしれない。10%の希望を逃してはいけない、と納得しました。

結局は、腫れているリンパ節の細胞を三カ所見てもらい、どれも進行性の腫瘍だということがわかった訳ですが、やっぱりそれを知ることはしなければいけなかったのだと思います。
それがわかってからは、担当医は、今後病状が進むとどうな症状が出て可能性があるか、と丁寧に教えてくれました。

家人も私も、合理的で、わかりやすいシステムと親切な対応に、落ち込みながらも、気分は落ち着きました。

さあ、「在宅緩和治療」の始まりです。