「日本のおっぱい」乳がんダイアリー

2011年乳がんになりました。

魔法のことば

「男の方って遠慮があるのかもしれないわね。」

最初の病院から、医療情報提供書をもらったものの、これから先セカンドオピニオンを含めて、どのように考えていったらいいのかしら、と途方にくれた私は、一年も暮れようというある夜、中学校からの同級生で女医でもある友だちに相談の電話をしたのでした。

「遠慮??あ、あの‥セカンドオピニオンってどこに聞きに行ったらいいのかしらね?」うろたえる私。

「でね。あなた、若く見えるのがいけないのよ!私たち、いくつだと思ってるの?」

聞かなくったて、私たち同い年じゃない。
「えー?どういうこと?褒めてくれてるの?えー?嬉しいけど‥」結構、喜んでしまう私。

「もう、乳房がどうだ、とか言ってる年齢じゃないでしょ。腫瘍が3cmって小さくはないわよ。だ、か、ら、ちゃんと『切る大きさにこだわらない、命が大切』って言いなさい!」
「私、言ってる、言ってる!」
「言い方が足りてないんじゃない?」と再びおしかりのムチ。

「私、お医者に『見かけが大切』ってオーラ出してたかなあ??まさかあ。」ここまで来ると、電話口でおちゃらける位しかできません。
「乳腺専門の医者って、優しいのよね。乳房が大切っていう患者さんが少なくないんだと思う。」

「あの、もう一度聞くけど、セカンドオピニオンをきくお医者知らない?たとえば、私たちの同級生のお医者たちに癌の専門家っていたかしら、ね。」
「同級生の男子に、乳がん切ってもらいたくはないでしょ?(笑い)」
「(爆笑)確かに、ね。」

「でもね、あなたは絶対に大丈夫だと思うわ。」と女医は最後にとても優しく言ってくれました。「根拠はないんだけど、大丈夫よ。」

この一言は、ずっと私を励ましてくれています。治療の効果や、再発の可能性を%や数字ばかりでお医者に説明されて滅入りそうな時も、この「あなたは大丈夫」の一言がわたしを守ってくれて、おかげで落ち込まなくてすんでいます。

ちなみに、私たち同級生の中で彼女のあだ名は「魔女医」。

その魔女医からのお見舞いは、「明後日のことを考えてね」って高級化粧水。このローション、何とも気持ちいい。