「日本のおっぱい」乳がんダイアリー

2011年乳がんになりました。

3cmの攻防

最初の診断では腫瘍は3.1cm。この3cmというが、ちょうど治療の境界線なのだそうです。

一つは、乳房を全摘出するか、部分削除(いわゆる「温存」)するかの境界。もう一つは、手術前に抗がん剤治療を受けるか、手術後に抗がん剤治療を受けるか、の境界です。

癌を見つけてくれた最初のお医者の最初の質問は、極めて深刻そうで、うっかりと答えていけませんよ、慎重にね、というメッセージがこもっていました。
「全摘出になるかもしれません。乳房を残した方がいいですか?ご本人の価値観ですから。それを尊重します。」
思わず、「残したくない、ということはないですけど、病気を治す方が優先ですよね。」と言ったものの、なぜ病気の説明の冒頭でこのことを聞かれるのか、本当はよくわかりませんでした。

お医者は、構わず続けます。「3cmの腫瘍を切り取るのには、周りを含め、直径5cmを切除することになります。温存しても陥没するなど変形してしまいますが。」

え?美容整形の相談に来た訳ではなく、病気を直してもらいに来たのに?

世の中には、顔がきれいな人もそうじゃない人もいるし、鼻の低い人高い人もいるし、足の太い人も細い人もいるように、もともと胸の小さい人大きい人も、形のいい人、悪い人もいるんだから、今そんなことを問題にしているのはどうして?と思う私の方が、もしかして、何か自分の人生にとってのとても大切なことがわかっていないのだろうか?と頭の中でぐるぐると、足りない考えが回りました。

人前では、裸になれないよ、ってことを言っているのかしら?だって、モデルやストリッパーじゃあないし。別に今だって人前では裸になることなんて、(それ程は)ないはず?

それよりも、今まで知らなかった、術前抗がん剤治療の話が印象に残りました。メリットは、術前に抗がん剤投与をすることで、局部の癌が完全に消滅する人が15-20%(他の本では30%)もいる、ということ。腫瘍が全部なくならなくても、小さくなる人が大部分だということ。「そうすると『温存』の可能性が出て来ます。」と、再び「温存」を強調するお医者。私は心の中では、『だから、温存は二の次ですってば。』と、つぶやいていました。