「日本のおっぱい」乳がんダイアリー

2011年乳がんになりました。

再び、魔女医登場

「全摘って、そうよ。あなたの場合、予後の心配がなくて、正解だったんじゃない?」
手術後病室から魔女医に電話。

「でも、抗がん剤でガンは小さくなってるし、リンパ節の転移は画像では見えなくなってるし、主治医と最後にまた、『温存がいいですか?全摘にしますか?』ってことが話題になるとは夢にも思っていなかったのよ。何のための術前抗がん剤だったか。だまし討ち、って感じよ。」
「患者の価値観がそれぞれなので、医者としても仕方がないのよ。中にははっきりと『全摘しましょう』っていう女医もいるわよ。」
「もし、主治医が本心は全摘した方がより安全だ、と思っているならはっきり言ってほしいわよね。ねえ、他のガン、例えば胃とか肝臓とかでも、『全摘しますか?どうしますか?』なんて聞かないでしょ?」
「そうよね。女性の心理を慮っているとしてもよ、子宮や卵巣のことは『あなたの年齢なら、必要ない機能なので、予防的にとってしまいましょう』とか悲しいほど簡単に言うのにね。」

「内臓は、見えないからかしら?私だって、髪の毛が抜けただけで、人前に出るのがいやだったものね。髪が薄くなっていく男の人の気持が初めてわかったわ。すぐ生えてくるってわかってても、辛いくらいだもの。わー、ハゲの人はどんなに悩むだろう。」

ガンになってわかる、人の痛みです。魔女医も電話口で、笑ってくれました。

男のお医者だから、女の乳房に関して気を使うのでょうか?そんな風に気を使われると、かえってそれを失った女には価値がない、と言われてしまっているように感じてしまいます。

「私は、あなたの命のことを大切にしたいから、全摘にすることをすすめます。乳房があるかないかではなく、あなたが素敵に生きてほしいから」なんて、きっぱりと言ってくれたら、この主治医に乳がん患者はみんな惚れちゃうでしょう。でも、それも困りますか?