「日本のおっぱい」乳がんダイアリー

2011年乳がんになりました。

「大切なことは、たいがい犬から教わった」

10才になる我が家の「とってもゴールデン」な雑種犬も、癌を持っています。一年程前にお腹を触っていたら、ピンポン大のしこりが私の手に当たりました。

早速、主治医に相談。触診で「まあ、癌でしょう。」とあっさり。主治医は、往診が中心の獣医さん。小さなワンボックスカーに医療器具いっさいを乗せて、一日中あっちへ、こっちへ犬と猫の治療に走り回っています。

予防注射はもちろん、緊急の病気や怪我の処置や猫の去勢手術まで、自宅の居間や庭先で飼い主を助手にたいていのことはやってしまいます。

その時も、「手術の準備は一応してきたんですけどね。どの位、悪性かはわからないけど、『癌』ですね。ただ、このしこりは触るとつるつると動くなあ。とりあえず、ステロイド剤の注射と投薬をしてみて、それでも大きくなるかどうか経過観察してみましょう。」

自宅での治療は、犬にとってはストレスが少ないし、主治医曰く、「飼い主という優秀で、かつ給料も払わなくていいアシスタントまでいる。」飼い主だって、わざわざ病院まで車で行って、犬猫がわいわいしている待合い室で、他の飼い主さんに気を使いながら,「可愛いですね。具合が悪いんですか?」などと社交辞令もいらないし、診察台に乗りたくない犬に汗をかいて獣医に怒られることもないし、一石何鳥だかわからない。

「大型犬の10才というと、何が起きても寿命だと思っていいです。お互いの幸せのために、苦しかったり嫌なことは出来るだけ避けていった方がいいでしょ?(笑い)」

癌の治療となると、麻酔をして組織検査、そして大手術、投薬に安静。やられることは、人間と同じでしょう。犬にとっては、「虐待」以外のなにものでもない。彼にとってはしこりが痛い訳でもかゆい訳でもないのだから、どうして苦しめられるのか理解できない。

それから三ヶ月に一度位、ステロイド剤の投与をしてもらっています。時々、触ってみるけど,大きくもなっていないし、身体の他にもまだ転位もないので、そのままにしています。

何よりも彼自身が、知らないんだから当たり前ですが、「何にも気にしていない。」

犬はたとえ,何日か散歩に行かなくても、「さあ、散歩行くわよ」と声をかければ、全身に喜びをみなぎらせてしっぽをふります。決して、「何だよ。今さら。昨日は何で行ってくれなかったんだよ」などと、すねたり、過去の恨みはみじんも見せません。「わーい!散歩!散歩!」と目の前の希望に夢中です。今散歩に行けることが、嬉しくて、嬉しくて。

人生に、大切なことは、みんな犬から教わっています。

6月30日の3回目タキソール治療から3日目。そろそろ副作用が始まる時期なので、犬猫を連れて、信州の山小屋に一週間籠ることにしました。犬好きの若いお友達が付いて来てくれるので、百人力。「わーい!避暑だ!」と犬のように喜んでいます。